五城目のコミュニティドクターを訪ねて

秋田駅から車で北に40分、秋田県の五城目町でコミュニティドクターとして活動する漆畑宗介先生のもとを訪ねてきました。

コミュニティドクター

こんにちは、3年の西山です。漆畑先生は普段は病院で働きながら、週に1度地域に出て住民と交流するコミュニティドクターとしての顔を持っています。その取り組みに興味があり、今回はフィールドワークに参加させていただきました。漆畑先生はまだ数少ないコミュニティドクターの先駆け的な存在で、ここ2年で全国から約20人!もの学生が志願して見学・研修にやってきたそうです。この日も三重大学から見学に来た学生と一緒に回りました。

フィールドワークでは約520年続く伝統的な朝市や、人々が集まるサロンなどを歩いて回りました。まち歩きをしていると、特別なことをしなくても、地域の人が集まってきて会話が生まれます。健康に関する話題も一部ありましたが、最近のことや出かけたことなどそれ以外のことがほとんどで、先生が地域に溶け込んで住民とフラットな関係を築いていることが伝わってきます。

五城目のいいところ

五城目町では数日に1回の頻度で朝市が開かれていて、この日も地元の人たちが野菜や山菜を出品していました。皆さんとても温かい雰囲気で、初めて訪れた私にも声をかけてくれたり、町のことを教えてくれたりしました。朝市があることで人々の交流が生まれるだけでなく、売りに出す食材を採りに出かけるきっかけになるなど、町民の生き生きとした暮らしを生み出す要因の一つになっているように感じられました。

空き家を活用したサロンにも、決まった時間になると近所の人々が自然と集まってくるようです。この日はWBCの決勝戦で、日本が優勝する瞬間を皆さんと一緒に迎えることができました。五城目町では他にも空き家を活用する動きが活発で、移住してきた人がリノベーションした施設も複数あって町を賑やかにしています。

朝市ふれあい館
朝市ふれあい館からまち歩きスタート
朝市の様子
美味しい食材が並ぶ朝市
サロンの様子
WBC決勝・9回表

地域を診る意味

漆畑先生は町の人たちがどんなものが好きで、どんな暮らしをしているかをよく知っている様子でした。住民の方々も漆畑先生のことをよく知っていて、信頼関係が築かれているように感じられました。外来で病院に訪れる住民の”患者”としての顔だけでなく日頃の様子を知っていることで、患者さんの背景を理解した診察が可能になるだけでなく、日常生活からヘルスプロモーションや人々の楽しい暮らしに貢献している様子でした。ここに、先生が地域に出て活動している意味があるのではないかと思いました。(そして、先生も町での暮らしを楽しんでいる様子!)

他の地域のことを考える

五城目町には漆畑先生の他にも、別の場所から移住あるいは通いながら地域を盛り上げている方がたくさんいらっしゃいます。私は新潟県の集落に通って地域活動を行っていたことがありますが、そこでも人々は温かく迎えてくださり、そして活発に暮らしていました。振り返ってみるとその地域にも観光資源があって、朝市のある五城目町と同じく外からの人々を受け入れる雰囲気があったのかもしれません。しかし、そうではない地域ではこうした取り組みが難しいケースもあるようで、今後はこうした地域にも目を向けて勉強したいと思いました。

(西山)

「 未来を担う若者達を育む~地域を診る医師としてのやりがい~」
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地域医療実習&コミュニティドクター研修報告会のお知らせ
総合診療やコミュニティドクターに興味を持って実習に訪れた学生同士が学んだことを振り返り、アート作品として発表する会が開催されます。⇒ふりかえり
日時:2023年4月22日(土)、23日(日) 10~18時
場所:アートギャラリーものかたり