医療の見え方が変わった2日間

秋田大学医学部医学科5年 佐々木

9/26〜27に開催された「第16回日本プライマリ・ケア連合学会東北ブロック支部学術集会」に参加させていただきました。

私が学会に参加したきっかけは、もともと総合診療に関心があったからでした。
実際に総合診療に携わる方々のお話を伺い、プライマリ・ケアの役割や総合診療のキャリアについて理解を深めたいと考え参加を希望しました。

しかし、今回の学会でさまざまな方との交流を通して、総合診療について学ぶだけでなく、これからの医療や医療者としての働き方について多くの事を考える機会となりました。

◼︎これからの地域医療を知る

学会では、様々な講演を聞いたり、ワークショップに参加しました。

まず、初日の講演では、日本や秋田におけるプライマリ・ケアと総合診療の現状やこれからの医療について知りました。

高齢化が進む一方で人口は減少し、人がばらけてしまうことで採算が取れなくなっている地域の医療や、以前の予想を遥かに下回っている出生数、医療資源が不足する問題など、これからの医療が抱えるさまざまな課題についての話がとても印象に残りました。

それに対して、2040年に向けて急性期医療のあり方を見直すなどの新たな地域医療構想が進められていること。
ICTやAI、医療MaaSなどを活用した医療や、総合診療・家庭医の育成が重要になることなどさまざまなことを知ることができました。

日本や秋田が少子高齢化が進んでいるという事実は知っていても、具体的な事柄についてはこれらの講演を聞くまでは、十分に理解できていなかったように思います。

また、これまでも総合診療やプライマリ・ケアのような地域に寄り添う医療の重要性は高まっていくだろうとは漠然と考えていましたが、実際の医療政策や地域医療の現状について詳しい話を聞くことで

「日本の未来って思っていたより大変なのではないか」
「日本が大変なのなら、東北、更には秋田はもっと大変なのではないか」


と改めて思い知らされました。
地域完結型の医療が求められている中での総合診療やプライマリ・ケアの重要性について、自分の中での解像度が上がった講演でした。

◼︎多職種での交流

学会ではさまざまな職種の方が集まり、それぞれの立場から医療について考え、交流し合っているのがとても印象的でした。

―学会1日目-

「地域医療ラストダンジョン」


という、提示された患者さんのいろいろな課題について話し合いながらRPGのように解決策を選択していく企画がありました。
このように多職種で楽しみながら医療について話し合う場があるというのが、それまで私が“学会”に抱いていたイメージと違ってとても面白く新鮮でした。

―学会の2日目-

「なりきりカンファ」


というワークショップに参加し、他職種のロールプレイをすることでそれぞれの立場への理解を深める経験をしました。
私は薬剤師役でロールプレイをしたのですが、実際にその立場になってみると、立ち回り方や他職種との連携について考えるのが難しく、普段の実習では医師の視点ばかりで考えていたことに気づきました。
他職種の仕事について、その立場になって考えてみると、分からないこと、難しいことが多くあるのを実感しました。

この経験から、これからはもっと意識して他職種の役割や考え方にも目を向けてみたいと思うようになりました。

さらに、与えられたシナリオのロールプレイ中
薬剤師の「服薬管理が十分にできていないように感じるので、薬をちゃんと飲んで欲しい」という気持ちと、患者側の「自分はちゃんと飲めているし管理できると思う」という気持ちがぶつかる場面がありました。

患者さん側の気持ちも尊重しつつ、自分の意見を伝える難しさを痛感しました。

「共同意思決定」が大事と言われ、知識として知っていても、実際に行うのは簡単ではないこと。
患者さんも含めたさまざまな立場からの視点で医療を見ることが、自分にはまだ十分にできていなかったことに気づくきっかけになりました

■得た気づき

今回の学会に参加したことで、総合診療やプライマリ・ケアについて、もともと持っていた「地域に寄り添う医療」というイメージが、より具体的で広いものになりました。

患者さん一人一人に寄り添うことだけでなく、地域が抱える課題や限られた医療資源、多職種それぞれの役割まで含めて考えることが、地域の医療を支えることにつながるのだと感じました。

また、同じ関心を持つ学生や、実際にプライマリ・ケアに携わる先生方、普段の学生生活では関わる機会の少ないさまざまな職種の方からお話を伺うことができ、自分の視野を広げることができました。

さまざまな立場の方が医療について、それぞれの視点から考えていることを知り、ひとつの立場からでなく、いろいろな角度から考えることの重要性を実感しました。

今回の学会で得た気づきを、これからの実習や学びにもつなげていきたいと思います。

このような貴重な機会をいただき、本当にありがとうございました。