2026.10.13 Tue
【プライマリ・ケア学会に参加】症例発表を通して見直した患者さんへの聴き方
市立角館総合病院 初期研修医1年目 滝口 晃樹です。
2026年9月26・27日、秋田市文化創造館で開催された
「第16回日本プライマリ・ケア連合学会東北ブロック支部学術集会」に参加しました。
■症例発表について
私は、市立角館総合病院で初期研修をしており、今回は高齢で初めて喘息を発症した患者さんの症例を発表しました。
発表後の質疑では、過去の服薬歴について確認が足りなかった点が話題になり、このやり取りが患者さんへの聴き方を見直すきっかけになりました。
学会参加前は、担当した症例の経過を5分で分かりやすく伝えるために、資料や発表原稿を整えていました。
特に慎重に整理したのは、市販薬の服用と症状の悪化の関係です。
薬を飲んだ後に悪化したという経過があっても、それだけで原因と決めることはできません。
症状がいつ始まり、いつ薬を飲み、その後どう変化したのか。
確認できた事実と、まだ分からないことを分けて伝えることを意識しました。
■演題
「詳細な市販薬歴聴取によりNSAIDs過敏喘息が疑われた高齢発症喘息の1例」
私が発表した演題です。
NSAIDs過敏喘息は、解熱鎮痛薬などをきっかけに喘息が悪化する病態です。
この患者さんは、風邪のような症状に対して市販薬を服用した後、息苦しさなどが悪化しました。
その経過から薬との関連を疑いましたが、服用前から呼吸器症状があった可能性もあり、原因の確定には至っていません。
薬の名前や成分、飲んだ量・時刻まで具体的に聴くことの大切さと、診断は疑いにとどまることを発表で伝えました。


■質疑について
発表後の質疑では、患者さんが以前にどのような解熱鎮痛薬を使い、そのときに症状があったかについて質問を受けました。
今回の市販薬を調べていても、過去の使用歴など十分に確認できていない部分がありました。
薬の名前や服用時刻に加えて、これまでに使った薬と、その際の体調も聴く必要があります。
自分が整理した症例に別の視点から質問をいただき、次に同じような患者さんを診るときに聴き足したいことが具体的になりました。
他の発表では、しゃっくりを止めようとして大量の水を飲み、体内の塩分濃度が下がってしまった症例が取り上げられました。
患者さんが症状を何とかしようとして行った対処にも、病気を考える手がかりがあります。
市販薬の服用についても、何を飲んだかに加えて、どの症状を和らげようとして飲んだのかを聴くと、症状と服薬の順序を整理しやすくなります。
患者さん自身の対処と、その理由に目を向けることを、自分の症例と重ねて考えました。
■次の診療で意識したいこと
今回、学会を終えて次の診療で意識したいことがはっきりしました。
服薬歴を聴く際には、処方薬に加えて市販の風邪薬や痛み止めも具体的に尋ね、過去の使用歴も確認したいと思います。
薬の名前が分からないときには、箱や包装の写真を見せてもらう方法もあります。
また、原因が確定していない点は患者さんや診療に関わる人と共有し、引き続き確認することを診療録に残しておきたいです。
発表に向けて振り返った症例から、次の患者さんに尋ねたいことが見えてきました。
今回の学びを、症状の背景を考えることと、その後の再発予防に生かしていきたいと思います。