2024.12.27 Fri
すべての医師が目指すべき、理想の医療の形とは?―専門医×総合診療 多様な医師の役割と未来―
秋田大学医学部医学科5年次 山本貴郁
私は、幼少期から喘息を患っていたこともあり、呼吸器疾患の薬物治療に興味を持っていました。そのため、将来は呼吸器やアレルギーを専門とする内科医になることを考え医学部に入学しました。
そして、医学部に入ってから幅広く診れる医師にも憧れを抱くようになり、プライマリ・ケアの第一線で幅広い疾患に対応する総合診療医という働き方にもきょう興味を持つようになりました。
しかし、当初は総合診療は総合診療専門医が担うものだと考えており、両立は難しいと漠然と感じていました。実習を通して、そんな私の考えは大きく変わりました。拙い文章ではありますが、お付き合いいただければ幸いです。
総合診療の理念と専門医
総合診療部の実習では、大学病院を除いて最大で6つの医療機関で実習することが可能です。大学病院だけでなく、そうした外部の様々な病院で指導医の先生方から話を聞き、総合診療とは何かという一つの気づきにたどり着くことができました。それは、特定の臓器や疾患の専門家であることと、幅広い患者さんを診ることは矛盾しないということです。
総合診療の理念は患者の心身両面を包括的に捉え、一人ひとりに最適な医療を提供することです。実習では、内科医や外科医など様々な専門分野の医師がそれぞれの立場・経験を活かして総合的な医療を提供している姿を見ることができました。
確かに、総合診療専門医の先生は、総合診療の理論についての理解や、網羅的な知識と経験を持っています。総合診療専門医の先生方の持つジェネラリストとしての専門性は、地域の総合診療を盛り上げその理念を広めていく上で非常に重要であることは言うまでもありません。しかしながら、他分野の医師も自分の専門知識を活かしながら患者さんの全体像を把握することで、より良い医療を提供できるのではないでしょうか。
患者中心の医療と医師の役割
総合診療では、患者の病気だけでなく、その人が置かれている状況も大切です。経済状況や心理状態なども考慮して、患者さんに寄り添った医療を提供することが重要です。これは、すべての医師に求められることだと思います。患者さんの話をよく聞き、理解し、一緒に治療計画を立てる。これが、患者と接するすべての医師の役割ではないでしょうか。
すべての医師が目指すべき理想の医療の形
私は、総合診療は臓器別・症候別の専門医だけでなく、すべての医師が目指すべき理想的な医療の形だと考えています。患者さんの多様なニーズに応え、地域社会に貢献するためには、医師一人ひとりが総合的な視点を持つことが重要になってきます。
実習でお世話になった先生方は、患者さんの病歴だけでなく、家族構成や生活習慣まで詳しく把握していて、一人ひとりに合わせた治療計画を立てていました。その姿を見て、私は、単に病気を治すだけでなく、患者さん全体を診ることの大切さを改めて実感しました。
私は、将来は内科医として、専門知識を活かしながら、患者さんの全体像を把握し、総合的な医療を提供していきたいと考えています。今回の実習を通して、総合診療は総合診療専門医に限らず、すべての医師が実践できるものであることを理解しました。患者さんの背景に配慮し、一人ひとりに合った医療を提供することは、医師として最も重要なことだと改めて実感しています。
読者へのメッセージ
このブログを読んでいる医療系学生や医師の皆さんも、ぜひ総合診療について、専門分野を極めることと、幅広い知識を持つことのバランスなどについて考えてみてください。ご清覧いただきありがとうございました。
【五城目町商店街でいただいただまこ鍋】
湖東厚生病院の地域実習で、漆畑先生の主催する地域のイベントに参加させていただいた際に、ご馳走になっただまこ鍋です。地元の方が調理して下さいました。
大変美味しかったです。