2024.12.19 Thu
地域医療学会 in 富山―雑食ノスゝメ
この記事は2024年もあと1ヶ月という時期に執筆していますが、
読者の皆さんがこの1年で目にした、医療が関係する出来事やニュースはどのようなものでしょうか?
働き方改革(2024年問題)、ワクチン(HPV、COVID-19)、高齢者医療費…様々ありますが、先行きが心配になる話題が少なくありません。
今の医療が抱える課題や矛盾をも映し出しています。
未来のために今できる事はあるのか?
そのヒントを探るべく、私は未踏の地・富山に降り立ち、第3回日本地域医療学会学術集会へと足を踏み入れました。
下車するや否や美味しそうなお出迎え。
かのご高名な先生の著書の表紙も飾っている、日本海の恵み。きっと絶品なんだろうなあ…。
そんな雑念を振り捨て、いざ会場へ。
そこには、今回の大会のテーマである、
未来に羽ばたくサスティナブルな地域医療 ~質の高い温かい医療で地域を包み込む~に迫るあれやこれやが勢ぞろい。
以下、苦渋の取捨選択でその中の一部をご紹介します。
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わが県でも導入されている医療MaaS車両。
中身は意外とゆったり。
ニュースで見た時にはピンと来ていませんでしたが、何かにつけて時代遅れと言われがちな本県にとって、かなり先進的な取り組みなのですね。
タブレットを頭にのせて軽快なBGMを鳴らしながら歩き回る、自動モノ運びロボット。
今回は「クリニックや薬局などの運搬作業に!」という謳い文句でのご登場。
小ぢんまりした見た目をしていますが、なんと
・AI搭載(足下の箱が本体)、Al○xaのように声で動かせる
・グッドデザイン賞ほか数々の賞を受賞
・飲食店、工場、個人宅などでも使用されている
というすごいお方らしいです。
行動経済学で「心のゾウ(人間の直感)」を動かす、「ナッジ」をテーマとした講演。
演者の先生の津軽弁が懐かしく響き、笑みが零れました。
今やすっかりおなじみの、→のようなレジ前の足跡マーク…これもナッジの一つです。
このマークのように、相手に強制することなくより健康的な行動へと導くには…?
中々やめられないモノがある患者さんを日々相手にしており、かつ自身もドカ食いダイスキ!でやめられない私にとって、非常に身につまされる内容でした。
ちなみに、富山には「ピアノ階段」なるものがあるそうで…。
階段利用を促して健康増進を狙ったものとのことで、これもまたナッジです。
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――お気づきでしょうか。
以上の物々は全て、医療業界の外から参入しているということに。
現在の医療業界では、人口構造や社会環境の変化があまりに急であるために、
処々でキャパオーバーしています。
医療の視点だけ、今いる人間だけ、では対応しきれないのです。
また、そもそも総合診療という領域そのものが、
「病気や治療のことだけ解決すれば、本当にそれで良いの?」
というカウンターカルチャー的な性格を持っています。
地域医療は、そこに加えて医療および人的資源の乏しさというハードルを抱えています。
そう、やりくりが大変にならないわけがないのです。
現在の行き詰まりを打破するには、医療の外のスキルや道具を活用していくことが不可欠になりそうです。
もらえるものは病気以外もらっておけばいいんだ という旨の台詞がマンガやドラマにあるようですが、
活用できるものは害になるもの以外使っていけばいいんだ――
そんな雑食精神が芽吹いた学会でした。
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【余談】
毎度おなじみ、雑食(文字通り)のコーナーです。
1日目の懇親会。
富山の味覚を丸かぶり。
舌だけでなく目と耳でもちゃんと味わってきました。
ハンドパン(奏者はなんと医師)、 越中おわら節。いずれも生演奏初体験。
そして2日目の朝もしっかり雑食。
ごちそうさまでした。