ACPとであうこと もしバナゲームに触れてみた

専攻医松本です。

10月より、にかほ市国民健康保険小出診療所で研修をさせて頂いています。

 診療所の業務は、外来診療以外に訪問診療や予防接種、健診、健康教室など多岐にわたります。レントゲンも自分で撮影し、院内処方も自分で調剤します。病院とは違い、元気に地域の中で生活されている人たちがやってくるため予防や普段の生活の視点がより大事になってきます。病院勤務では中々たずさわる機会のない会への参加も多いので、少しずつ様子を発信していきたいと思います。 

 さて、しばらく前の話になってしまいますが、仁賀保中学校の2年生2名が、職場体験として診療所を訪れてくれました。その際に、せっかく人数がいるのでと診療所にあった「もしバナゲーム」をやってみました。

人生の最期にどうありたいかを話し合って方針を決めていくプロセスをAdvance Care Planning (ACP)といいますが、そういう時期の話をするのはなかなかにハードルの高い話です。だけど大事なことだからもっと手軽に…と開発されたのが「もしバナゲーム」。名前は聞いたことがあったけど、実際に手にするのは初めてでした。カードの内容を見ると、「どれも大事だよね」と思える内容ばかり。カードの内容を比較して、いらないカードを交換していくというシンプルなルール。やる前は、「話題性としてはいいけど、正直それって面白いのか…?」と思っていましたが、やってみると、思いのほか熱中し盛り上がりました…!ちゃんとカードの交換をしていく過程で、それぞれのプレイヤーの価値観がわかるようになっており、話が弾みました。

言葉じゃあまり伝わらないので、ぜひやってみてほしいです!(オンライン版で体験できますが、可能なら複数人でやるカード版の方がよさを実感できると思います)もしバナゲームについてはこちら

 専攻医のふりかえりの時間にもみんなでやってみましたが、思いのほか盛り上がりました。
私個人としては、痛みや苦痛がないことが大事で、あとは、終末期に家族によって意思が覆ってしまう場面を数多く目にしているので、「自分の意思が尊重されること」が大事なんだなと再認識しました。それと同時に、医師として、苦痛はしっかりと認識して取り除いてあげられるようにありたいと気持ちが引き締まりました。

 にかほ市でも「終活」のイベントがあり、診療所の所長の和田先生もACPについての講演をされました。その催しにも、元気な高齢者が集まっていて、意識・関心の高さがうかがえます。早い段階でのACPは、現実味が実感できないという問題はあります。一方で、いつどうなるかなんて誰にもわかりません。気軽に話し合える文化づくり、機会をつくることは大事だし、ニーズもあるなと感じています。