医学生、初めての学会へ

秋田大学医学部医学科3年 池田宙夢

【学会参加について】

5/12~5/14にかけて、愛知県で「第14回プライマリ・ケア連合学会学術大会が開催されました。僕自身まだなんの専門科を取りたいのか決まっているわけでもないので、総合診療医になりたいや、地域医療に関わりたい、ということはあまり考えていませんでした。

今回は同期の学生に誘われて “なんとなく面白そうだな” と思い参加してみました。

でも、 “なんとなく” とは言ったものの、あとにも書きますが様々な気づきや社会の動きをみることができた、いい体験となりました!

【出会った人々】

会場では、他大学の医療系学生や医療従事者、医療系ビジネスの方々など、普段は話さないようなほんとうに多くの方々と話すことができました。

他大学の学生は、1年生から6年生まで多くの年次の学生が来ていました。その中でも印象に残っているのは、「他大学の医学部での地域枠入試について」のことでした。僕は一般枠入試で入ったのですが、秋田大学にも地域枠入試が存在し同期でもたくさんいるため少し興味が向いていたんだと思います。地域枠入試とはいっても大学によってシステムが様々であることを知りました。中には、このシステムは大丈夫なのだろうか?と思うようなものもありました。(あくまでも主観ですが)

医療系ビジネスの方々とも話すことができ、特に医療コンサルの代表の方や音声認識を使った電子カルテ作成サービス等を提供している医療テック系の方々と長い時間話すことができました。そんな話を通して感じたのは、みんな「正義感」(のようなもの)をエネルギーにこの仕事をしているということでした。元医療従事者の方もいて、「医療×〇〇」という生き方で生きている方々と話すのはとてもおもしろかったです。

【“いずれくる死にそなえない”】

今回の学会では、展示スペースや体験ブース、キッチンカーブースもあり本当に盛りだくさんの企画になっていました。その中で講演ブースもあり、朝から夕方まで多くの登壇者の方が入れ替わり立ち替わりで講演を行っていました。

その中でなんとなくタイトルに魅かれ聞きに行った講演がありました。名郷直樹さん(医者)という方の講演、「再び“いずれくる死にそなえない”を語る~高齢・多死社会で考える死~」というものです。名郷さんが出した本をもとにした講演です。講演会場に行ってみると本当に多くの参加者がいて、今回の学会の講演ブースの中で一番人が来ているのではないか?と思うほどでした。

講演の中で自分のメモに書いていた文章をいくつか挙げると、(実際の言葉とは少し異なる部分もあるかも知れませんが)

  • 「well~」を考えることをやらないという前提から始めるのがいいのではないか?(例:well being)
  • なんでもありを受け入れてみよう(≠考えるのを放置していい、だけれども)
  • 肉体的な死はあるが、本当の「死」はどこにあるのか? などなどです。

特に3つ目に関してはハッとしました。僕自身、小さい頃に身内の死や、解剖実習のときにも死というものをずっと見ていて、なんとなく「死ってこういう感じか~」とどこかで思ったりしていたかもしれないです。でも、では本当の意味で「死」というものを切り取ったときに、それは一体なんなのか?ということに関しては考えたこともなかったな、と気づかされました。

そんなふうなテーマを参加者と登壇者の対話形式で1時間半ほど話していました。結局その講演の中では明確な答えは出ることはなく(そもそも出るのか?)、最後に登壇者の方から「この講演の時間を通して日常に何か疑問やモヤモヤを持ち帰ってほしい」という言葉がありました。いつも医学部の勉強では答えを出すことや覚えることばかりをしていますが、こんな哲学対話的な時間があるのも、とてもいいなと感じました。

余談ですが、講演では席が最前列しか空いておらずとりあえず座ったのですが、本の出版社の方とたまたま隣に座り合わせました。詳細は長いので省きますが、その方と、最近見た映画の話を絡めながら「人間」とか「人間の死」ってなんだろうな?、ということを話せたのはとてもいい時間でした。偶然の出会いがあるのも学会の良さなのかなと思いました。

【最後に】

学会に初参加だったのですが、まずはその規模に驚きました!サッカーコート約4面分の会場に講演・展示・体験・交流ブースがあり、祭りのような雰囲気でした。当初感じていた「学会」という雰囲気とはまったく異なる雰囲気で、新鮮でした。医学の分野を飛び出して様々なことを考えられた2日間になりました。

そして、ご協力いただいた総合診療医センターの方々、本当にありがとうございました!