「患者さんの負担が少ない医療」を行いたい    ◆秋田GP列伝~ 守時 由起 先生編(1/2)

 秋田大学で5年生から6年生にかけて行われるClinical Clerkship 2(CC2)で総合診療・検査診断学講座をローテしてくださった皆さんに、自分の知りたい事や今後のライフプランなどに役立てる目的で実習に伺った病院の先生へインタビューを行い、医師としてのマインドやロールモデルなど学ぶ事を課題としています。こちらを『あきたGP列伝』として掲載します。

今回は、秋田大学医学部 総合診療・検査診断学講座 准教授 守時 由起 先生へ、豊田 舜さん(5年生)がインタビューを行いました。              後編はこちらから。

【豊田】宜しくお願いします。先生は一度神戸大学を卒業されてから秋田大学に再入学されたとお聞きしています。まずは高校時代のお話を聞かせていただけますか?

【守時先生】秋田県内の高校に通っていて、はじめはバスケット部に所属しましたが、2年次でバンド活動に注力するために自主退部しました。
中学から始めたドラムが楽しくて、学内外の友人と一緒にバンド活動をして、スターダストレビューなどアーティストのカバーを演奏していました。その後大学入試を経て神戸大学の理学部に入学することになりました。

【豊田】ドラムは中学生の頃から演奏されていたのですね!神戸大学での学生生活はどのようなものでしたか?

【守時先生】当時神戸大学は部活動やサークルの勧誘がとても盛んで、教養部前で軽音ジャズがChick Coreaの「Got A Match」などを演奏しており、そのハイレベルな演奏に圧倒されて、軽音ジャズに入部することにしました。その後、ビッグバンドのドラマーを引き受けることにもなり、二人のレジェンドドラマーの先輩に大いに影響を受けながら、さらにプロドラマーも輩出していた大阪のドラムスクールに通ったり、バブル期の中で演奏のバイトに行ったりと音楽三昧の大学生活でした。神戸大学の仲間からは、「君は神戸大学『軽音学部』卒業だね」と言われたこともありました(笑)。

【豊田】この頃からジャズに傾倒するようになったのですね(笑)。その後どうして医学部を再受験することにしたのでしょうか?

【守時先生】そんな大学生活のお陰で、理学部の専攻科目の理解はあまり進まず、バブル期が終わる頃の就職活動でも自分に合ったものが見つからず苦しんでいました。
 実は、大学2年の時から高校生の息子さんの家庭教師をさせていただいた家庭があり、旦那さんが京都大学卒業の外科医、奥様が再入学後に京都大学を卒業された眼科医でした。奥様のご実家はそのお父様が外科教授、お母様も眼科医でとても由緒正しい医学系の家柄で、陸上選手のカール・ルイスが遊びにきたり、エジソンが作った竹フィラメントの電球があったりとのことで、驚くことが沢山ありました。
家庭教師の際に、大学卒業後や就職後に医学部に再入学して医師になっている方が少なからずいて、医学部の学生は多種多様であるということを聞きました。
 また、私の実家では、もともと自然菜食やヨガなど東洋医学的なものに触れる機会が多く健康について興味があり、西洋医学を学びたいという気持ちもありました。そんな中で医学部の再受験を目指すようになり、地元の秋田で医学生になることができました。

【豊田】紆余曲折を経てついに医師の道へ踏み出すこととなったのですね。秋田大学での学生生活はどうでしたか?

【守時先生】秋田大学に入学してから、神戸大学時代に教員免許取得のために行った教育実習で指導した生徒たちと再会しました。彼らとは同期として仲良くさせていただいています。
 また、秋田でも音楽熱は冷めず、ジャズ研究会に入り、学内外の方々と様々な場所で一緒に演奏させていただきました。学外での演奏をする中で様々な出会いもあり、縁あって4年次で学生結婚をしました。音楽が繋いでくれた縁ですね。
それから、ジャズ研究会以外でも、当講座の教授である植木先生とも一緒にバンド活動をしていて、大学卒業後もしばらくは一緒に活動していました。理学部とは大きく違って、医学科は全てが必修単位で情報量も膨大ですね。なんとか6年で卒業し、医師になった感じです。

【豊田】ジャズのおかげもあって現在に繋がる様々な出会いがあったのですね。先生は学生時代にどのような将来像を思い描いていましたか?

【守時先生】これまでやってきたJazzは続けたいと思いつつ、私が小学生の頃にワシントンからの留学生をホームステイとして迎えた経験もあり、その頃からなんとなく海外への興味関心があったため、留学してみたいと思っていました。また、幼い頃から東洋医学的なものに触れる機会があり、その影響もあって「患者さんの負担が少ない医療」を行いたいという漠然とした思いもありました。

 後編はこちら

 《 Yuki Moritoki 守時 由起 》

  医学士・医学博士・認定医療シミュレーション教育者(CHSE)
  秋田大学医学部 総合診療・検査診断学講座 准教授
  秋田大学医学部附属病院 中央検査部 副部長
  秋田大学医学部附属病院 総合臨床教育研修センター 副センター長
  

  < 略歴 >
  神戸大学理学部物理学科 卒業
  秋田大学医学部医学科 卒業
  東北大学大学院医学系研究科 修了

  秋田厚生連由利組合総合病院 研修医
  東北大学病院消化器内科(肝臓グループ) 専攻医
  Division of Rheumatology, Allergy and Clinical Immunology, University of California Davis, School of Medicine 研究員(米国)
  富山大学大学院医学薬学研究部(医学)協力研究員
  中外製薬(株)メディカルサイエンス部課長
  帝京大学医学部附属溝口病院 第四内科 非常勤医師
  秋田大学医学部附属病院 中央検査部 助教
  秋田大学医学部附属病院 中央検査部 医学部講師
  秋田大学医学部附属病院 医師キャリア形成支援センター 特任講師
  秋田大学医学部附属病院 医師総合支援センター 特任講師
  秋田大学医学部附属病院 総合臨床教育研修センター 特任講師
  Adjunct Assistant Professor, SimTiki Simulation Center, University of Hawaii John A. Burns School of Medicine
  秋田大学医学部附属病院 総合臨床教育研修センター 特任准教授
  秋田大学大学院医学系研究科 総合診療・検査診断学講座 准教授
  秋田大学医学部附属病院 中央検査部 副部長
  秋田大学医学部附属病院 総合臨床教育研修センター 副センター長
  Adjunct Associate Professor, SimTiki Simulation Center, University of Hawaii John A. Burns School of Medicine(米国)
  (現在に至る。)

  < 免許・資格 >
  日本プライマリ・ケア連合学会認定医/指導医
  日本内科学会認定内科医/指導医
  日本肝臓学会専門医/暫定指導医/東部会評議員
  日本消化器病学会専門医/支部評議員
  日本消化器内視鏡学会専門医
  Certified Healthcare Simulation Educator (CHSE), Society for Simulation in Healthcare