総合診療医育成を“オール秋田”で 4病院の研修プログラム統合、東日本初

2023年1月10日 秋田魁新報に先に行われたプレスリリースの記事が掲載されました。

 幅広い疾患を総合的に診る総合診療医をオール秋田で育てる研修プログラムが、2023年度始まる。これまで県内4病院がそれぞれ行っていた研修プログラムを統合する。中心となる秋田大医学部付属病院の総合診療医センターによると、総合診療医の専門医研修を全県一体で行うのは全国でも珍しい取り組みで、東日本では初という。指導体制を手厚くし、研修先となる病院の選択肢を増やすなどしてカリキュラムの魅力を高め、本県に医師を呼び込みたい考えだ。

 総合診療医は、幅広い疾病と傷害について適切な初期対応や継続的な医療を行う。複数の臓器が関係する疾患を診断したり、保健福祉、介護分野との連携調整を行ったりする力が求められる。第三者機関の日本専門医機構が認定する18年度からの制度で、新たに加わった専門医。
 総合診療専門医になるには、2年間の初期臨床研修の後、日本専門医機構が認定した研修プログラム(3年~5年)に参加する。内科や救急、小児科での診療、専門研修を行って技術や経験を積み、試験に合格すると認定される。

 国は、高齢化に伴い複数の疾患を抱える患者が増えているとして総合診療医の育成を重視。高齢化が進み、診療科の偏在が課題となっている本件でも必要性が高まっている。
 県内では新制度がはじまった18年度以降、秋田市の秋田大学医学部附属病院、秋田厚生医療センター、中通総合病院、横手市の市立大森病院が総合診療医の研修プログラムを開設。しかし、22年度までの5年間で研修に参加したには計3人にとどまっていた。
 こうした状況を受け、秋大医学部附属病院で研修を担当する総合診療医センターが全県一体の体制を企画。各病院が賛同して実現した。

 プログラムは「あきたGP(総合診療医)NET専門研修プログラム」。総合診療医センターが事務局を担う。
 県内各地の20病院と、総合診療に先進的に取り組む千葉県の2医療機関で研修が可能になる。若手医師は、それぞれの地域や施設の特性を踏まえて研修先を選べる。このほか県内外5カ所の病院やクリニックも協力し、助言や情報共有するという。
 また、毎週、センターの医師が臨床経験に関する指導を行うなどきめ細かなバックアップ体制を提供する。

 植木重治センター長は「各病院の医師がちからを合わせてより質の高い指導体制を目指す」と意気込みを語った。指導医や若手医師が情報共有する機会を充実させるとし、「総合診療医はまだ新しい専門医。若手医師がロールモデルとなる先輩たちと関わりながら将来像を描けるプログラムにしていく」と力を込めた。       (髙橋さつき)秋田魁新報社

秋田魁新報社 2023.1.10掲載 転載許諾了承済