どうして秋田で総合診療医? 

 湖東厚生病院の伊藤善昭です。今回、僕がどうして秋田で総合診療になろうと思ったのかちょこっとお話しさせてもらおうかと思います。  (令和4年12月3日開催 あきた塾より)

 個人的な一番の理由は地元の井川町に役立つ仕事をしたかったからです。
 子供のころに医師になりたいと言ってからずっと応援してくれていた地元の方々に恩返しできるものや求められることは何か考えて、地域密着型で、患者家族を含めて広く付き合うこと・向き合うことのできる感じがいいなぁと漠然と考えていたところに総合診療医という選択がカチッとはまったイメージです。どうやって自分の専攻を決めるのか悩んでいたり不安に感じていたりしている研修医の先生・学生さんも多いかとは思いますが、例えばどこで働く自分をイメージしているのかとか、誰のために働きたいと思っているのかとか、そういうのを参考にするのもありかもしれないですね。 

 あとは初期研修をして各科をローテした時に、どの科も楽しかったこと。どの科も楽しくて、面白いと思えたからこそ、一つに絞るのがもったいなぁと思ってしまいました。また、救急外来や当直をしていて、疾患を絞ることにこだわりすぎない軟らかい頭と患者背景にも目を向ける広い視野は常に持っていたいとも感じ、そのへんを得意とする総合診療を専攻しようと決めました。


 さて個人的な理由は前述のとおりですが、それでは秋田県で実際のところ総合診療医は必要とされているのか、ということですよね。たとえば我々が力を入れている領域に多疾患併存というものがあります。2つ以上の慢性疾患が一個人に併存している状態で、死亡率増加やQOL低下など様々な問題につながっていきます。よくあるのは「ここの科ではこれはみるけど、こっちの病気はうちじゃないから他科に行ってね」といわれて気がつけば毎日のようにいろいろな病院へ行って、それだけでお腹いっぱいになりそうなほど薬が出ていて・・・。

患者さんも大変ですよね。どうやって解決していくかをここでお話しするのは控えさせてもらいますが、65歳以上の高齢者においては60%以上の方が多疾患併存状態にあるというデータもあります。秋田県の高齢化率39%弱くらいですから単純に考えると4-5人に1人がこの状態にあるということになりますね。そしたらこの分野を得意にする総合診療医は必要な感じがしませんか?(もちろんそんなに単純なものではないですが。

僕個人としては、総合診療という分野が広く理解され、他の専門領域の先生方と協力して秋田の医療(と地元の人の満足度)をより良い方向にできればそれでOKです。そのなかで、総合診療専攻の仲間が増えたらもっとhappyなので、ぜひ考えてみてもらえると嬉しいです!!

中途半端になってしまいますが、そろそろ長くなってしまいましたので、ここで失礼します。

    <伊藤 善昭 Yoshiaki Ito>

   2017年 秋田厚生医療センター
   2020年 東京都王子生協病院
   2021年 湖東厚生病院 ~