男鹿みなと市民病院・診療所実習で感じた「地域医療」

東北医科薬科大学 医学部2年 森岡浩平

まず初めに、この度はあきた地域医療実習に参加させていただき、誠にありがとうございました。今後の勉強につながる大変有意義な時間を過ごすことができました。


私は本実習で男鹿市に位置する男鹿みなと市民病院にお邪魔させていただき、3月10日から12日までの3日間、病院実習をさせていただきました。そして13日は秋田市に戻り秋田大学医学部シミュレーション教育センターにて山地先生と共に振り返りを行いました。

病院実習初日

午前中は松本先生の案内の元、病棟見学を行わせていただいた後、患者さんと先生のお話を見学させていただきました。病棟はナースステーションからの距離がどこもおおよそ均等になるように上空から見て三角形の形状を取っており非常に興味深い形状をしていました。患者さんと先生との会話では、患者さんのライフストーリーに想いを馳せながら聴くことに専念をしてみました。

普段の大学の実習などでは医療行為や医師の技に注目することが多く、患者さんのライフストーリーに注目することは少ないため非常な貴重な時間となりました。

山地先生に事前に与えられた課題をこなすべく始めたものではありましたが、たくさんの情報を患者さんと先生との会話から得ることができました。この患者さんの20代から60代の今に至るまでの遷移を部分部分で想像できるくらいには話を聞き込み、観察することで、腕時計の余ったベルトの感じからお痩せになられた様子や、ベッからわざと出した片足から爪を切って欲しいという意思が見受けられたり、と普段の実習では決して気づくことのないことに多く気づくことができました。

また午後は木村院長から男鹿の地形に関すること、男鹿みなと市民病院の歴史について、現状の地域の課題に関して説明を受けました。

男鹿という地域を多面的に知ることができ、地域を見る地域医療を行うにおいて必要な知識を得られたと感じました。また課題としては開業医の減少、診療所の老朽化、職員の確保など様々なものを挙げていただき、現状をよく知ることができました。また新規の事業として来年度から訪問診療を行うべく動き出しているとお聞きしました。
木村院長のお話後は職員の方に連れられ実地見学を行わせていただきました。

木村院長からのお話を胸に見た男鹿の景色は、非常に感慨深くぜひこの地域をもっと全国の方に知ってもらいたいと感じました。

病院実習 2 日目

午前は外来見学を、午後は国保五里合出張診療所での診察を見学させていただきました。午前の外来見学では総合診療医である松本先生の外来にて、しっかりと総合診療医の診療というのを見学させていただきました。総合診療医の普段の働き方としては、普段は一般内科を行い、メンタルチックの患者さんや多疾患併存の患者さんが来院された場合に総合診療医としての力を発揮すると仰っておられました。また外来を観察させていただく中で感じたこととしては、患者さんの背景や事前情報から現在の状況や性格を考え、または以前の診察などで感じたことなどを把握した状態で再度の診察を行っているの
だ、と肌で感じとることができました。

また患者さんの年齢や体力などを判断材料にいれ検査の種類を考えており、「近道」ではなく「適切」かが診察において大事なのだと感じました。
その後お昼前に秋元先生に呼んでいただき、内視鏡による食道静脈瘤結紮術を見学させていただきました。処置室にいる看護師の方にも術式の方法などを説明しながら処置を行っており、医療のチーム感を感じることができました。
午後からは加澤先生と病院職員の方と共に国保五里合出張診療所へ移動し、診療所での診察を見学させていただきました。初日に拝聴した木村院長の話に出てきた、診療所の老朽化という話題を直に見るとができ、この地域の課題を肌で感じることができました。また診療では患者さん 1 人であったが、加澤先生の血圧やバイタルの重要性のお話を聞くことができ大変有意義な時間を過ごすことができました。

病院実習 3 日目

午前は訪問看護に同行させていただき、午後は入道崎へき地診療所と国保戸賀出張所診療所での診療を見学させていただきました。午前の訪問看護では呼吸器疾患を抱えておられる利用者さんのお宅へとお邪魔させていただきました。今後導入される予定の訪問診療の解像度を上げることにも生きるのでは、という風な心持で挑ませていただきました。
内容を見学させてもらう中で特に注目したことは、利用者さんの奥さんの頑張りでした。訪問介護などを使用しているとはいえ、1日の大部分のお世話を行っている中で、介護職の人や看護師の方との情報有手段であるノートには丁寧に日々行っていることが手書きされておりました。また以前は寝室を分けて夜を過ごしておられたが、今は体調を心配して利用者さんのベットのそばに布団を引き睡眠をとって、何かあったらすぐに対応できるようにしているとのことでした。想像を絶する大変さであるはずなのに、今回実習を受け入れていただき、またいろんなお話をしていただき、我々が勉学に励む応援までしていただいて、伝えることのできないくらいの感謝の気持ちにかられました。また看護師の方もそういった奥さんの頑張りが、心身の疲労に直結していないかを確認するために、日常の話や困っていることなどを親身になって聞いており、見習うべき姿勢だと深く感動いたしました。


午後は秋元先生と職員の方に同伴し、入道崎へき地診療所と国保戸賀出張所診療所へ行き診療を見学させていただきました。まず入道崎へき地診療所では患者さんが一人のみ来院され、その診療を見学させていただきました。車の通ることさえ難しく、勾配の厳しい道の中にある診療所に患者さんは一人で歩いて来られていると聴き非常に驚きました。そして患者さんの対応を終えた後には診療所周辺を先生と共に散歩させていただきました。急な坂から見下ろす荒れた日本海という景色に少しノスタルジックな感情になりつつも、このような土地での診療の大変さを痛感しました。

その後国保戸賀出張所診療所へ移動し、3人の患者さんの診察を見学させていただきました。診療所での診察で処方される薬は基本的に長期で処方され、その薬が切れたころに患者さんが来院されるそうで、その期間からその日来院される患者さんの数はおおよそ検討がつくという話をお聞きしました。また薬も限られたものしかないため、対応できる疾患は限られているという現実的なお話も聞くことができ、地域医療の未来を考えなければいけないと感じることができました。

そして診療所から男鹿みなと市民病院に戻り、松本先生と本実習の総括を行いました。

地域を知り、人を知り、医療を知った3日間であり、人のやさしさに多く触れることのできた3 日間でもありました。

実習最終日は秋田大学シミュレーション教育センターで山地先生をお迎えし、病院実習の振り返りと症例検討のワークショップを行いました。他の病院に実習で訪れていた学生の体験やお話を聴くことがき、またそのお話から新たな力を生むことができるような議論を行うことができました。その中でも人をみるメガネという名の視点に関するお話が非常に印象に残りました。人と関わる際に持つ気持ちやえ方はある種の先入観であり、取り外すことができるものだと知りました。また総合診療においては様々な種類のメガネを持っておく必要があると教わりました。これらのことを踏まえて、これからの大学生活で様々なメガネを獲得できるようにいろんな人と話をし、価値観の輸出入を行っていきたいと感じ
ました。

最後に、本実習に参加させていただいたことで、また新たな知識や考え方、感情を知ることができました。来年度から大学では臨床科目がスタートし、医療現場に一歩近づいた勉強ができるかと思いますそれらの勉強に今回の実習で得られたものは必ず活きてくると思いますし、活きるものへと自身の中でも昇華していかなければならないとも感じております。これらからも一層勉学に励んでいく良いきっかけとなりました。

この度はこのような実習を開催していただき誠にありがとうございました。