2025.11.25 Tue
大学の短期留学プログラムで中国に行きました!
6年の西山将平です。2025年4月に秋田大学の短期海外学修派遣プログラムで中国の武汉に4週間の短期留学に行ってきました。
研修先について
武汉(Wǔhàn)は中国内陸部の湖北省にあり、人口が1千万人を超える中国の中心都市の1つです。日本で人口が1千万人を超えるのは東京のみですが、中国では20近くの都市で1千万人を超えています。武汉は国内でも大学の多い地域で優秀な若者が多く、街は活気に溢れていました。
私がインターンシップに参加したのは华中科技大学(Huazhong University of Science and Technology)の同济医院(Tongji Hospital)です。病床数は6000床で秋田大学の約10倍です。私は病院に隣接する医学部キャンパス内の寮で4週間生活しました。キャンパス内にはたくさんのお店があって、生活に困ることはありませんでした。

中国での生活

私が中国に行きたいと思ったのは、実際に生活することで中国の文化や価値観を体験したいと思ったからです。地理的には近い国であるにも関わらず日本とは異なることや私が知らないことがたくさんあり、以前から関心を持っていました。
街の雰囲気や情景は私が思い描いていたものに近かったです。しかし想像以上に、中国での暮らしはのびのびとしていて開放的であると感じました。人々は自由なペースでそれぞれの時間を大切にしているようにみえました。

週末や実習が早く終わった日は地铁(Dìtiě)やレンタル自転車を使って出かけました。地铁は地下鉄です。武汉地铁は現在12路線あり、街中に張り巡らされています。その全てが2000年以降に作られたもので、急速な発展を感じます。レンタル自転車も至る所にあって安く利用できるのでとても便利です。
平日は、近くのジムを契約して実習の合間に通ったり、夜にキャンパス内のトラックでランニングをして過ごしました。実習後に空き教室や図書館で実習中の診療科や中国語の勉強をしました。
観光
武汉で最も有名な観光地は黄鹤楼(Huáng hè lóu)です。休日はとても混んでいますが、実習が早く終わった平日に行くことができました。とても立派な建物で圧倒されました。
东湖(Dōnghú)は美しい景色の巨大な湖です。湖の上に整備された緑道があるのが特徴です。私は混雑する前の早朝に訪れ、レンタル自転車で湖上や湖畔を50kmのサイクリングを楽しみました。

言語
言葉は中国語です。私はかねてより中国に興味があったので、少しだけ中国語を勉強したことがありました。実際によく使う表現は異なることもあり、勉強したことを思い出しながら、会話で使う表現は新しく覚えながらの生活でした。漢字が使われているので読み書きは得意です。発音が難しいうえに日本語と異なる読み方なのでなかなか覚えられず、特に聞き取りが難しかったです。病院での会話は日常生活よりもさらに難しいですが、疾患の名前など文字にすると分かるものもたくさんあります。
食事
キャンパス内には数えきれないほどの餐厅(Cāntīng)があって、お気に入りをリピートしたり、新しいお店を探したりして楽しみました。キャンパス内の餐厅ではほとんど300円以内でお腹いっぱい食べることができます。豚の角煮が安く食べられるのが嬉しくて、滞在中にたくさん食べました。

キャンパスの外にもたくさんのお店があります。通り沿いにもたくさんお店が出ていますし、デパートのような施設もたくさんあります。屋外の雑多な感じとデパートの洗練された雰囲気とのギャップも中国らしく感じました。
特に中国で食べてみたいと思っていたのが火锅(Huǒguō)です。仲良くなった中国の友人に連れて行ってもらいました。日本のしゃぶしゃぶに似ていますが、スパイスや薬味が入っている感じがとても美味しかったです。辛さはお店や地域にもよって違うようですが、私が行ったところはちょうどいい辛さで美味しかったです。武汉で有名な热干面(Rè gān miàn)や小龙虾(Xiǎo lóngxiā)も楽しみました。
病院実習
同济医院の臨床実習では1週間ごとに実習診療科を自由に選択することができます。私は内科、外科、中医学の診療科をそれぞれ選択しました。病院の規模がとにかく大きく患者数も多いので、日本の病院とは全く異なる雰囲気です。内科と外科の病棟はそれぞれ独立した24階建ての大きな建物で、外来や検査のための建物もあります。病院での先生方同士の会話や患者さんは全て中国語です。各科に英語を使える先生がいらして、その先生をフォローして教えてもらいました。英語が苦手な先生も英語や翻訳アプリを使って頑張って説明してくれました。
内科では回診に同行し、さまざまな医療手技を見学しました。どの患者さんにも付き添いの家族がいます。病室のカーテンは開いていることが多く、患者さん同士や家族が会話している様子も見られました。一方で、主要な疾患とその治療法に大きな違いはありませんでした。言語と文化の壁はありますが、知識と技術があればどこへ行っても活躍できると思いました。
外科はさらに日本と異なる雰囲気です。病棟には手術待ちの患者さんがたくさんいて、外科の各チームは毎日多くの手術を行っています。3フロアに渡る広大な手術室はとてもきれいで、効率的に手術が行われていました。メインで使用する器械や手順が日本と異なり、興味深かったです。
中医学は、この病院では中西医結合科と呼ばれています。日本で広く普及している診療方法を西洋医学、漢方薬や鍼灸を用いた中国の伝統的な診療方法を中医学といいます。この科の病棟の患者さんは、日本だと総診や一般内科に入院されるような方が多く、想像していた上に西洋医学の手法も併用されていました。外来では、鍼治療をたくさん見学しました。診断の難しい症状や西洋医学で十分に効果を得られなかった患者さんが多かったです。西洋医学が明確な診断名のある疾患への治療を主とするのに対し、中医学では分類の難しい症状に対しての治療が提供されているように感じられました。
武汉での生活と臨床実習の経験は、とても充実したものでした。現地で生活したからこそ得られた気づきがたくさんありました。サポートして頂いた秋田大学の教職員の皆様方と、現地で一緒に過ごしてくれた友人たちに感謝しています。



秋田大学で留学を考えている方へ
秋田大学医学部短期留学プログラムでは、海外の複数の大学から派遣先を選ぶことができます。また、派遣先に応じて大学から規定額の補助を受けられます。派遣人数は留学先ごとに毎年1~3人です。5年次の春〜夏にかけて学内選考があり、派遣時期は5年次の冬~6年次の夏頃です。選考の厳しさは学年の希望者数にもよりますが、日頃の勉学に加えて英語の勉強をしておくと役立ちます。大学の臨床実習も大詰めで忙しい時期ですが、どの国に行っても貴重な経験ができるはずです。