2025.10.14 Tue
総合診療医の魅力に触れて — 1年生が知った“地域を支える医療”
第15回日本プライマリ・ケア連合学会 東北ブロック支部学術集会に参加して
総合診療に興味があったので、今回、プライマリ・ケア連合学会の学術集会に参加させていただきました。1年生の夏ということもあって、医学・医療の知識も経験もほとんどなく、講演を聴いていて分からないこともたくさんあったので、勉強して理解できるようになりたいと思いました。この二日間を通して、講演を聴いて得たことも多かったのですが、総合診療に従事されている先生方、薬剤師の方、看護師の方、総合診療に興味のある学生の方などとお話できたことが、私にとって大きな収穫となりました。講演以外の場で面と向かってお話しすることで、総合診療が今後いかに必要とされるかという熱い思いを直に感じました。
前野先生の基調講演を聴いて、総合診療の重要性の高まりを知りました。急性期病棟を集約し、亜急性期や回復期、リハビリ病院を各地域に強化することが求められており、住民に近いところで包括的に人々の健康を支える医師が必要となる、ということが特に印象的でした。総合診療専門医が生涯専門性を維持しやすいということは意外でした。一見専門性がなさそうに思える総合診療科ですが、70~80代まで総合診療専門医として働けるのがよいということに納得しました。私は、実家近くの診療所で長年働いている高齢の先生に憧れて、私も地域に寄り添った医療を実践し、診療所で長くはたらいて、地域の方が信頼してくださるような医師になりたい、と思い医師を志しました。総合診療医の基本的な説明から役割、今後求められるであろうことなどを聴いて、総合診療医になることで、私のなりたい医師像にぐっと近づけそうだと思いました。また、前野先生と懇親会でお話させていただいた際に、今後すべての医師に総合的に患者を診る姿勢が求められるようになっても、最初から総合診療をやりたいという熱をもって取り組んできた医師なら生き残れる、と伺いました。医学部の定員が増加し、医師数は増え、ジェネラリストも増えると思われますが、総合診療専門医を取得し、家庭医療専門医も取得することの、専門性の強みをもって働ける利点に納得しました。
花田先生の特別講演からは、実際の経験に基づくTipsを学びました。特に「どこにどんな医療資源があるか把握しておく」ことは大切だと思いました。一人の医師が患者さんを背景も含めて包括的に診たり治療後も診たりすることが総合診療の強みの一つですが、他科の先生や多職種の方と連携して患者さん一人一人に最適な医療福祉を提供し、患者さんのwell-beingを高めることも総合診療医の役割の一つなのだと感じました。そのために広く医療資源の所在を知っておくことが重要だということに納得しました。
松岡先生からは、プライマリ・ケアと総合診療/家庭医療の専門性について講演頂きました。プライマリ・ケアでは、PCCM患者中心の医療が大切にされており、「疾患」ではなく「病い」の回復を目的として、患者さんのwell-beingへの復帰を目指すということを学びました。総合診療医は患者さんの抱える複雑性の専門家だ、というMcWinney先生の言葉も印象的でした。患者さんを多角的に診る総合診療はカバーする範囲が広いため、総合診療とはどういうものかはっきり分からないと感じる部分も多かったのですが、総合診療の目指すところを知って、総合診療への理解が深まった気がします。
一般演題では実際の症例報告を聞きました。専門用語や薬剤の名前は分からないものが多く、勉強して理解できるようになりたいと思いました。専門的な部分は分からなかったけれど、症例報告にあった患者さんの病気は多様で、幅広い疾患の患者さんを診ることができる総合診療医は魅力的だと感じました。
ワークショップで玄関診断学をはじめて知りました。訪問先の玄関を見て、療養生活の継続可能性を探ったり、コミュニケーションツールとしたりする玄関診断は、医療に関係なさそうなことも含めて患者さんを包括的に診る総合診療の姿勢そのものだと感じました。実際に写真を用いて玄関診断をやってみると様々な見方や感じ方があったことから、多職種で話し合うことで多様な意見が出て、一層患者さんに寄り添った介入につながるのだと実感しました。 学術集会に参加した二日間は、プライマリ・ケアの理解を深めたり先生方と交流したりできる学びの多い時間となりました。貴重な経験をありがとうございます。今後も大学の勉強に加えて、総合診療の知見を深めていきたいです。
