往診クリニックでの実習

こんにちは!医学部6年の亀山夏乃です。

CC2第Ⅶ期に総合診療科で実習をさせていただきました。

その中の院外実習のひとつに秋田往診クリニックでの実習があります。そこでの実習の貴重な経験を書きたいと思います。

往診に同行させていただく機会を通して、病院での医療とは異なる「在宅医療」という世界に触れることができました。在宅医療は、患者さんの住んでいる家で行われる医療であり、病気を診るだけでなく、その人の生活、そして人生そのものに深く関わるものであるということを、実際に現場で体験する中で実感しました。

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患者さんのご自宅を訪れ、診察や会話を通して見えてくるのは、病状だけではありません。生活のリズム、部屋の様子、家族の雰囲気など、それらすべてが診察の手がかりになると感じました。

担当されていた市原先生は、患者さん本人だけでなく、介護をしているご家族の体調や気づかれにくい疲労にも丁寧に目を向けており、その姿がとても印象的でした。

「いつもきれいな玄関が散らかっていたり、普段ならすぐに出てきてくれるご家族がなかなか現れなかったりする。そういう些細な変化から、ご家族の異変に気づくことができる。」と先生に教えていただきました。医師が患者の生活の場に直接伺うからこそ、医療の枠を超えてその人の暮らし全体に目を向けることができるのだと、深く納得しました。

また、先生のこんな言葉も印象的でした。「手術をしても、一定数の患者さんは亡くなってしまう。手術で治せる患者さんは手術ができる医師に任せて、治せない患者さんに対して、自分にしかできないことをしたくて在宅医療の道を選んだ。」この言葉に、医療のゴールは必ずしも病気の完治ではないこと、どんな状況であっても、患者さんがその人らしく生きることを支える、その姿勢こそが、本当に人に寄り添う医療なのだと改めて認識しました。

そして、なにより心を打たれたのは、介護を担うご家族の温かさと献身的な姿です。在宅医療は、医師や看護師だけで完結するものではなく、ご家族を含めた「チーム」として支えていく、共同作業のようなものだと感じました。医療のあり方を改めて考えると同時に、「人に寄り添うとはどういうことか」を、自分の中に問い直すきっかけになりました。

今後、自分が医療に関わる立場になったとき、この日の学びを決して忘れずに、人の暮らしに寄り添える医療者でありたいと考えています。