2025.05.14 Wed
あきた地域医療実習に参加して
秋田大学医学部医学科1年 佐山綾乃
初めに、この度はあきた地域医療実習に参加させていただきありがとうございました。医療機関での実習やシミュレーションセンターでのセミナー、ワークショップを通して様々なことを学び考える有意義な時間となりました。
私は実習で男鹿みなと市立病院に行きました。地域医療については、患者の高齢化による課題などについて、話ではよく聞いていましたが、実際に現場を見ることで現状がよりクリアにわかりました。

特に患者の年齢層に関しては私が想像していたよりもはるかに高齢化が進んでおり、医学の発展を感じるとともに、多職種の密な連携や意思疎通など社会的な面を強化していく必要があるということを改めて感じました。また、現場では秋田市出身の私には理解することが難しい秋田弁での会話がたくさん飛び交っており、医療現場の雰囲気も地域によって異なるのだと感じ、面白いなと思いました。
他にも患者の家族も同席するICの現場や施設と連携して入退院の手続きを行う様子も見学させて頂き、地域医療実習ならではの経験をすることができました。
1日目の実習後には、お寿司などの美味しい料理を堪能しながら指導医の先生方とお話をしました。その中でも、「専門がどんどん細分化されてきているが、これからは自分の専門以外にも目を向け、広い視野で患者を診ることが大切だ」というお話が心に残っています。
実際に現場で感じたことも相まって、どんな科に進んだとしても、心理社会面も含めた広い視野を持って患者を診ることができるような医師になりたいと感じました。また、私が興味を持っている総合診療医の先生からも普段の業務や働き方などについて具体的なお話を聞くことができ、これも貴重な経験となりました。この日は文化財となっている旅館に宿泊し、美しい景観を楽しみながら疲れを癒すことができました。
2日目は実習の後、さとみ温泉での報告会で先生方のお話を聞いたり、他の参加者と交流をしたりしました。他大学の参加者の学生生活の様子を知ることで刺激を得たり、将来の働き方について考えたりする良い機会となりました。


3日目は心肺蘇生のセミナーやポリファーマシーに関するワークショップに参加しました。5〜6種類以上の多くの薬を服用することにより副作用などの有害事象を起こすポリファーマシーを解決するために薬の処方をどのように改善するかを考えるワークショップを通して、問診によって必要な情報を確実に聞き出すことの重要性や、処方を考える上で患者さんの生活背景が優先順位を決めるための大切な指標になるということを実感しました。
ここで考えた事例と同様に、目的を理解しておらず、不必要な薬を服用している高齢者が実際にたくさんいるというお話を聞き、コミュニケーションの重要性を改めて感じました。実践に即したワークショップによって、総合診療医に必要な包括的視点や病気を単に生物学的なものと捉えるのでなく、心理的、社会的な要素も含めて考えるBPSモデルという考え方の大切さを学ぶことができました。
私は今回の実習を通して「経験する」ことの大切さを学びました。実際に現場に身を置いて新たに感じたこと、医師や他の参加者との交流から得た学びは、今後の学習に対するモチベーションになりました。この気持ちを忘れずに、今後も秋田県で女性医師として働く自分のキャリアを模索していきたいです。貴重な経験をさせていただき、本当にありがとうざいました。