秋田 学生生活 釣り編

CC2 反町 悠

これを読んでくれている方の中には、県外在住で秋田大学受験を検討している方もいらっしゃると思います。秋田っていったいどんなところだろう、楽しく過ごせるのだろうか、あんまり遊ぶ場所がなさそうだしなあ、なんて思ってる方いらっしゃると思います。
僕自身高校時代は東京にいて、受験も他大学を希望していたのですが、前期試験に落ち、後期試験を行っている大学の中から縁あって秋田にやってくることになりました。後期試験で合格できたものの、正直秋田にくることが最初の頃は憂鬱でした。大変失礼ながら、何もない田舎じゃないか、とさえ思っていました。しかし、秋田に実際に来てみて、それまで全く縁のなかった釣り、という趣味に出会い、寧ろ秋田にご縁があって来られたことを幸運だと思うようになりました。
都会にある豊かさとは別の形の豊かさがここ秋田にはあります。そう思うようになってから、過去の自分と同じように秋田のような田舎には何もないと思い込んでいる人たちを見ると歯がゆい思いをするようになりました。勿論その豊かさとは釣りに限った話ではありませんが、この記事では秋田の釣りに焦点当てて秋田の魅力を発信してみようと思います。

海の釣り

秋田県は県西側に広い海岸線を持っており、釣りができるシチュエーションも砂浜、ごろた浜、磯場、河口、と豊富にそろっています。その中でも特にお勧めしたいのが男鹿半島と雄物川河口です。男鹿半島は日本海に突き出す形で対馬海流が直接ぶつかる潮通しの大変いい釣り場です。魚種も豊富で、東北の磯釣りのメッカと呼ばれています。ざっと上げるだけでも狙える魚種はスズキ、真鯛、クロダイ、ブリ、ヒラメ、キジハタ、アイナメ、メバル、アジ、サバ、ソイ、アオリイカ、ヤリイカ、などなど、本当に豊かな海です。水の透明度も高く、魚達の住処となる海藻が生い茂る男鹿の海は眺めているだけでも気持ちのいい場所です。

まずめ、という言葉をご存じでしょうか?日没と夜明け前後約一時間の時間を釣り用語でそれぞれ朝まずめ、夕まずめ、といい、魚達が食事のために活発に動き回るために釣り人にとってもチャンスタイムとなる時間のことを言います。秋田県は西側に海があるため、夕まずめの時間、釣りをしていると海に沈む夕焼けを見れるわけですが、この時の男鹿半島の景色の美しさと、さあこれからチャンスタイムだ、という高揚感は何度味わっても良いものです。ああ、釣りをしているからこそこの景色に出会えているのだな、と、そんな幸福感と高揚感を男鹿半島でぜひ味わってみてください。

        男鹿半島の夕まずめ

また、釣りをする観点での男鹿半島のメリットは地形的なものもあります。一つは日本海に突き出た形をしているため、風が強い日でも風をよけられる風裏となるエリアが必ず存在するという点です。2点目は道路から釣り場までが比較的近く、磯場も切り立った場所が他地域に比べて比較的少なく、釣り場自体にエントリーしやすいという点です。

このように男鹿半島は海釣りをする環境としてとても恵まれた場所になっています。次に雄物川の河口です。河口という場所が魚達が集まってくる場所というのは想像がつくでしょうか?河口は海の水と、川によって運ばれてきた栄養をたっぷり含んだ水がぶつかる場所です。そのためまず、川によって運ばれてきた栄養をベースに植物プランクトンが発生し、それらを食べる動物性プランクトンが発生、さらにそれを食べる小魚が集まり、小魚を捕食するスズキやヒラメ、タイ、ブリなどの大型の魚も集まってくる、という寸法です。雄物川のいいところは、そういった豊かな釣り場が、秋田市に住んでいれば自転車でも行けるくらいの近くにある、という点です。町からそう遠くない場所でそういった大型魚が手軽に狙えてしまう、というのが秋田という土地の大きなメリットだと思います。

      男鹿半島の景色とアオリイカ
       男鹿半島で釣った真鯛

淡水の釣り

川も秋田は豊富です。川の釣りと言うと大きく分けてヤマメやイワナを狙う渓流釣りと、スズキやサクラマスを狙う本流の釣りがありますが、秋田ではどちらも盛んに行われています。

渓流釣りに関して昨今は熊被害が増えており正直安全面からおすすめしにくいのですが、大学の裏にある大平山の山麓の渓流でも手軽にイワナやヤマメを狙うことができます。特に春、緑が眩しい新緑と鳥のさえずり、熊鈴の澄んだ音を聞きながらの渓流釣りは、いわゆる田舎の豊かで心癒される自然そのもの、といった感じで熊被害が落ち着いたらぜひ再開したい釣りの一つです。

        太平山麓の渓相
      太平山麓の渓流で釣ったヤマメ

一方本流のスズキやサクラマスの釣りですが、実は釣り業界では秋田は有名な川釣りの聖地の一つです。前述した雄物川と県北にある米代川が特に有名で、県外からわざわざ遠征に来る釣り人も少なくない程です。

釣り番組のロケも頻繁に行われており、秋田シーバス(スズキの釣り業界での呼び名)秋田サクラマスで検索してみてください、沢山の動画がヒットしてきます。なぜ他地域に比べて雄物川や米代川が川釣りの聖地になっているのかですが、堰がかなり上流までないことがその理由になっています。堰がないことでスズキやサクラマスが上流まで遡上することができ、遡上した流域全域で釣りが成立するというわけです。

         雄物川河口で釣ったスズキ

スズキもサクラマスも一般にはそれほど簡単には釣れない魚ですが、秋田ならば他地域に比べると狙える確率がぐっと高まります。銀色の美しい魚体に出会えた時は感動ものです、ぜひ秋田に来たときは狙ってみてください

 

また、僕自身はあまりやりませんが、ブラックバスを釣る環境も秋田は恵まれています。秋田市内から車で40分ほど北上すると八郎潟という大きな干潟があり、ブラックバス釣りの聖地になっています。こちらも雄物川同様全国的に有名なフィールドで、八郎潟で釣り生活をするために移住してくる方もいるくらいです。ブラックバスフィッシング専門の釣り具屋もあるようです。

さて、駆け足ですが、秋田の釣り環境を紹介させていただきました。釣り、という観点から見ると秋田は本当に豊かなフィールドです。また、釣りそのものもですが、釣りを楽しむことを通じて広がっていく人の縁もあります。もし縁あって秋田に来ることになれば、ぜひ釣りにチャレンジしてみてくださいね。それではまた!