患者さんの生活に密着して一人ひとりをしっかり診たい◆あきたGP列伝 粟﨑先生編(2/2)

 秋田大学で5年生から6年生にかけて行われるClinical Clerkship 2(CC2)で総合診療・検査診断学講座をローテしてくださった皆さんに、自分の知りたい事や今後のライフプランなどに役立てる目的で実習に伺った病院の先生へインタビューを行い、医師としてのマインドやロールモデルなど学ぶ事を課題としています。こちらを『あきたGP列伝』として掲載します。

 今回は、さくら内科・糖尿病クリニック 院長 粟崎 博 先生へ、唐澤 卓人さん(5年生)がインタビューを行いました。前編はこちらから。

 

【唐澤】先生はいつからクリニックの開業を考えるようになったのでしょうか?

さくら内科・糖尿病クリニック

【粟崎先生】元々、僕は外来が好きで、なんとなく自分は開業医向きじゃないかなって思っていました。「患者さんの生活に密着して一人ひとりをしっかり診たい」と思ったときに、患者さんが多くて病棟もある総合病院だとどうしてもそれが叶わなかったんですね。それで、開業についてなんとなく探っているうちに、知り合いの社長さんから支援もしていただいて、トントン拍子で2年後には開業していましたね(笑)

【唐澤】2年間ですか!思っていたより急なイメージです。

【粟崎先生】ずっと計算して開業したわけじゃなくて、「ぜひやってみないか」っていってくれる人が周りにいたからですね。だから、「なんかいつの間にか開業しちゃったな」って感じ(笑)

【唐澤】最後に、学生や研修医に向けてアドバイスはありますか?

【粟崎先生】まず、本当に自分がやりたいことを決めて取り組んでもらいたい。医師になると、雑音や誘惑が多いんですよ。

【唐澤】雑音や誘惑?

【粟崎先生】先輩の医師の誘惑だったり、メーカーさんからの誘惑だったり(笑)医者って周りの環境から作られていくんです。周囲におだてられて裸の王様になってはいけない。だから本当に自分がそれをやりたいのかを明確にしておかないと、後でふと我に返ったときに「あれ自分は何したいんだろう?」ってわからなくなるんじゃないかな。僕が医師になったとき、兄貴は「いい医者になる必要はない」って言ったんですね。

【唐澤】いい医者にならなくていい?

【粟崎先生】たぶん、「いい医者とはどういう医者かということを考えることが一番重要だ」と。見習うべき先輩や同期はたくさんいるけれど、そういったロールモデルを見ながらも、自分なりに「これが本当にいい医者なのか?」って考えていくことが重要だと思います。

【唐澤】お忙しい中ありがとうございました。

診察室の壁の写真。長期間通院していた患者が膵癌で亡くなる数週間前に撮影したもの。半年ほど経って患者家族が持ってきてくれたそう。

 

《 粟崎 博 Hiroshi Awasaki 》
さくら内科・糖尿病クリニック院長。
2002年秋田大学卒業。
2017年秋田市にさくら内科・糖尿病内科を開院。家庭医・救急医として地域に根ざした医療を行う。

<免許・資格>
日本内科学会認定内科医
日本糖尿病学会認定 専門医・研修指導医
日本プライマリ・ケア連合学会 認定医・指導医
日本内科学会認定 ICLSインストラクター JMECCインストラクター
日本糖尿病協会認定 カンバセーションマップ ファシリテーター ​ 
認知症サポート医                            前編はこちらから。