2025.12.26 Fri
あきた×総診塾
2025年12月13日
森岡浩平
12月6日秋田大学医学部総1講義室にてあきた×総診塾が行われました。大学の講義などでよく耳にする総合診療科とはどんな診療科でその魅力とは何なのか気になっていたため、今回参加させていただきました。

最初に松本先生による総合診療科に関する講演を拝聴しました。
実際の総合診療科の医師とはどのような診療を行っておられて、またこれまでどのようなキャリア形成を行って来られたのかをお聞きすることができました。

松本先生のお話の中で特に印象に残ったお話があります。それは末期がんの患者さんの「お墓参りに行きたい」という要望を叶えてあげた、というお話でした。私は現在大学の座学などで疾患を治すことを目標とした勉強を行っている中で、医師は病気を治す仕事、と言う印象が強くなりがちであると感じていました。しかし松本先生は様々な職種の方と相談をし、また新幹線の特別室などと言った様々な手段をご自身でお調べになられて、その患者さんが残された時間でやりたいことをできる限りできるように全力を尽くされておられました。
次に臨床推論とはどんなものなのかを実際に体験させていただきました。私はまだ二年生であり、大学での講義も基礎系の分野しか行っておらず臨床推論なんて行えるわけがないと感じていました。しかし、最初にさかなクンが動画内で行っていたサカナキネーターを参考に、どのような情報が重要でキーとなるかについてグループワークを行いました。そのグループワークではさかなクンがどのように情報を吸収し、頭で整理をし、最終的にどのようにして魚の特定に至ったかを考えることができ、情報から重要な要素を抽出する練習を行なえたと思います。

その後胸痛の患者さんの例を用いて臨床推論を行いました。臨床の知識はまだもっていないため、専攻医の先生や先輩からのヒントをもらいつつ、胸痛を訴える患者さんの見逃してはいけない情報をしっかりと考え、質問すべき項目を抽出することができました。
このお話を拝聴し、医師の仕事は治すことも重要であるが、一人の患者さんを疾患としてではなく人として診てあげる、これが医師の最も大事な仕事であると痛感しました。そして総合診療科という診療科は特にその意識が重要で、従事することでその力が培われる診療科であるのだと感じました。

最後はシネメジュケーションを行いました。まずシネメジュケーションという言葉を聞いたことすらなく、どんなことをするのだろうという興味を持った状態から開始しました。シネメジュケーションではDOCあすへのカルテという番組を見て、その中で気になったことや疑問に思ったことなど、それぞれの意見を出し合い議論し合いました。その結果様々なことを感じ取ることができました。その中でも一人の患者さんへの対応の仕方やその状況について、人の数だけ考え方があるのだと痛感し、また人を診る難しさを感じました。患者さんの状態は、その背景や検査の数値など客観的情報は一緒であっても、その患者さんが置かれた環境の中で何をクローズアップするかによって、患者さんを診る主観的な測りというのは変化するのだと感じました。
しかしどの意見が間違いで、どの意見が正解というのではなく、その議論で出たすべての意見はベクトルが異なるだけですべての意見が人の命を救うためである、というのに変わりはありませんでした。今回感じたことを心に住まわせた状態で、今後の実習などで様々な感情を得たいと思いました。
今回のあきた×総診塾での体験を通して、他の診療科よりも患者さんに近い医療を行う総合診療医の姿や、人を深く多面的に診る診療方法に深く関心を持つことができました。
また一つの症状から大切な情報を抽出する方法や、患者さんに対する様々な考え方など多くの学びを得ることができました。
今回の体験を胸に、今後より一層を勉学に励むと共に心を豊かにできるよう様々なことに挑戦していきたいと思いました。