Cureusの衝撃ニュース! 2025年度インパクトファクター剥奪!?

こんにちは、総合診療部の引地です。

この半年、ブログ更新から遠ざかっておりましたら、10月31日付で衝撃的なニュースが舞い込んできました。

https://www.cureus.com/newsroom/news/254

(Cureus公式ホームページより)

「2025年10月27日を最後に、CureusはWeb of Scicence(学術データベース)に収載されなくなる」

な、なんと!?

従って、当然のごとく

「2025年度ジャーナル・インパクトファクターも付与されなくなる」!!

実は、2023年以降、収載ジャーナルの見直しが大規模に行われ、年間120誌以上が除外されるという乱切り状態になっていましたが

今年度はCureusもその対象の一誌になった、ということですね。

除外された理由としては、一般的に、研究・出版倫理に関わる場合、インパクトファクターの意図的な操作が疑われる場合、文献の正確性が問われる場合などがありますが

Cureusの場合、査読者選考での不正行為や、過去の掲載論文の品質に関する懸念など、重大な問題が幾つか指摘されているようです。

Cureusの公式ホームページでは、今回の制裁を受け、

「これにめげずに、今後も我々が目指す出版スタイルを貫いてゆく」

とだけ宣言されており、どのような改善策を行っていくのか明確に述べられていない点を、残念に思います。

私が思う、Cureusの一番良いところ、それは

投稿された論文を出版に値するものに仕上げるにはどうしたら良いか、建設的な助言をする査読システムを理想としている点です。

いわば、架空の先輩が、架空の後輩に、温かい助言をするようなシステムになっています。

それを仇に取られ、とにかく簡単に出版することだけを目的に、論文の本質を改善しないまま悪用を繰り返されてしまったのが、今回の不正行為や論文の質の低下につながったのだろうと思います。

一般的な学術雑誌では、

編集長が「無駄」な査読を減らすために、最初にかなりの割合の論文を弾きます。

そのため、格式高い雑誌では、多くがコメントをもらえずにリジェクトされます。

この冷たいリジェクトが、研究者にとって大きな壁となっていたところに、彗星のように現れたのがCureusでした。

インパクトファクターが付与されたのは、2023年度からなので、つい最近、喜んだのも束の間になってしまいましたが

画期的な査読システムを保持しつつ、不正行為撲滅や論文の質の向上を実現するには、どうすればいいのでしょう。

Cureusはこの局面をどう乗り越えていくのか?

経営陣の手腕が問われるところだと思います。