2025.09.26 Fri
JPCA東北支部集会 in 青森―染まれ染まれ林檎の実よ
自宅発の軽自動車 おりた時から 青森の街は雨の中。
第15回日本プライマリ・ケア連合学会 東北ブロック支部学術集会に馳せ参じました。
今回の学会において良かった事は、何といっても初期研修先でご縁のあった人々と再会を果たせたことです。
先輩後輩から、指導医、さらに看護師さんに至るまで、沢山の懐かしい顔ぶれとご対面できました。
運営の先生方も、津軽弁話者多め。
懇親会でお話ししていても、初対面なのに不思議と懐かしい気持ちになりました。

当時の指導医であった先生の、「玄関診断学」 ―訪問診療において、患者宅の玄関の様子からその家族の生活様式や性格などを推測する方法― のワークショップも、本学会の狙い目の一つでした。
研修医時代、先生にお供して車で家々を訪問する合間に、玄関診断学のお話を聞いたものでした。そうかと思えば次の瞬間にルービックキューブを手渡され、揃え方も分からずきょとんとしていたのも微笑ましい思い出です。
多種多様な患者を診療する専攻医となった今、改めて拝聴すると、玄関一つから得られる情報の多さにハッとさせられました。同時に、患者の病院の外での暮らしに思いを馳せることの必要性がひしひしと感じられました。
もう一つの収穫は、総合診療医としてのアイデンティティがまた一歩クリアになったことです。
外科医が手術という方法で病変を取り除くように、総合診療医・家庭医は「患者中心の医療」という方法で患者の病いを取り除く――それが、本学会でのとある先生による講演での格言でした。
これを聞いた時、我々が行うべき医療、得意とすべき仕事は、正にそのような医療なのだと腹落ちしました。
この格言は、今後自分が何のお医者さんなのか見失いかけた時に、きっと前途を照らす灯火になってくれるだろうと確信しています。
そして願わくは、将来、今の自分と同じように暗がりの中で海路に迷える後進を照らして導きたいものです。

今回の地方会は、原点回帰の旅となりました。
未だにできない事や敵わない物ばかりだし、招待の確固たるビジョンも見えてはいませんが、
あの時ーー総診の道へ旅立つと決めた時から進化している所は確実にあるし、核として大切に持ち続けたいものも少しずつ見えてきている。
確かにそう感じられました。
また、離れていても同じ気持ちで頑張っている仲間がいることを再確認でき、心強かったです。
その仲間達に、懐かしの地に、元気でいますと胸を張って言うため。
この研修を踏破して、たとえ色味が多少悪くても、美味い実をつけてみせる。
斜陽の中、遥かに見えたお岩木様に誓いました。

【曲紹介】
帰路の車内で流した曲。
弘前出身のアーティストによる、故郷への想いを詰め込んだ曲です。