2024.08.29 Thu
禁煙のすすめ
喫煙は慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)の最大の原因と言われ,日本ではタバコ消費量の増加が続いた1980年ごろから約30年後にCOPDの死亡者数が増加しました. 人間が身体に有害な粒子やガスを吸い込んでしまうことで,肺や気管支などの呼吸器に障害が起きる進行性の病気と考えられています.息が吐き出しにくい形の障害のため閉塞性と呼ばれ,かつて肺気腫や慢性気管支炎と言われていた疾患が含まれ,肺でのガス交換が不十分となるため,息切れ,咳,痰などの症状が見られます.吐き出す息の量と息を吐き出す時間を測定する呼吸機能検査や胸部写真・CT検査などの画像検査の結果を用いて総合的に診断します.この疾患の初期は無症状であることも多く, COPD患者さんは見過ごされていることも少なくないようです.
(1)長期間続く咳
(2) 長期間続く痰
(3)労作時の呼吸困難
いずれかが当てはまる場合,もしくは症状がなくても中高年で喫煙歴のある方は,かかりつけ医による肺の検査をお勧めします.
治療に必要があれば,自宅に酸素濃縮器を設置して在宅酸素療法を行うことも可能ですが,障害を受けた呼吸器を元の状態に戻すことは難しく,長期的な悪化を最小限にとどめることが治療の目標になります.原因の大部分は喫煙で,喫煙を続ける限り障害は進行するため,禁煙が大切です.
禁煙の上で,薬物療法や呼吸リハビリテーションを行うことになります.しかし,禁煙は難しいものです.タバコをやめることが難しいのは,ニコチン依存と心理的依存の二つの要素がよると考えられています.ニコチン依存とは,タバコに含まれるニコチンによる身体的依存状態のことであり,心理的依存とは,それまでタバコを吸っていた状況になるとタバコがほしくなる状態のことです.それを乗り越えるため、禁煙外来があります.身体的なニコチン依存に対してはニコチンパッチなどの薬物治療も利用して,心理的依存に対しては日常生活の工夫などのアドバイスを行いながら,禁煙をサポートしています.