地域活動を通じて 

2024プライマリケア学会振り返り 

秋田大学医学部医学科4年 坂田捺哉です。

私の実家が静岡県浜松市ということもあり、浜松で開催される今年度のプライマリケア学会はとても楽しみでした。静岡県浜松市は、東京にも名古屋にもアクセスが良く、人口も多く、産業が非常に発展している街です。浜松市の医師数は静岡県内でもトップであり、多くの開業医が存在しています。

そんな街で開催された学術大会でしたが、将来開業し、プライマリケア医として働きたい私には多くの学びがありました

私が参加した中で印象的だったのは、重度心身障害児の医療的ケアに関するインタラクティブセッションと近藤医師と三重の津からいらした住職さんとの対話セッションです。

重度心身障害児のセッションでは、実際に頸髄損傷によって四肢麻痺となった同世代の若い男性や、大動脈弁閉鎖症で気管切開をして人工呼吸器を取り付けている中学生の方などがいらっしゃいました。そのセッションでは、多くの現状の問題点や医療従事者に改善してほしいことなどを障害児の保護者の方からのお話を聞くことができました。私は今まで重心児という言葉を知らなかったのですが、お話を聞いていくうちに私の中で、本当に困っている人が存在しているのに制度が整っていないということが明確になってきました。静岡県はあまり特別支援学校における支援が十分でなく、学校看護師の行動が制限されているため、重心児の方の保護者の方の負担がとても大きいです。お話を聞いていても、本当に大変そうでした。制度というのは医療従事者ではなくて地方行政が担当することであるというのはありますが、将来医師になるうえでその問題点を意識して小さなことから行動をすることが重要になってくると感じました。

藤田医科大学の総合診療医の近藤医師と住職との対談セッションでは、プライマリケアとはなにか、地域医療で医師が活動するということというのはどういうことなのか、といったことに対して問題意識がうまれました。診察室のみで生活習慣に問題を抱えている患者さんに指導をすることには限界があります。近藤医師が推進しているコミュニティーホスピタルという事業では、地域から患者さんを診ていくということが掲げられています。診察室では、患者さん本人から始まり家族歴などを聞くことはありますが、その患者さんの住んでいる地域まで診ることはなかなかありません。しかし、患者さんの必要としている医療はどういったものなのか、患者さんの主訴の根幹は何であるのかなどをみることはその患者さんを取り巻く環境を見ることで明らかになることがあるというそうです。実際に、私も湖東厚生病院で働いている漆畑先生のもとで長年活動してきましたが、地域が豊かに住民同士活発にコミュニケーションをとっている地域ではその住民は健康的であることが多いという印象があります。改めて今回の対談セッションで、家庭医が必要とされていることがわかりました。

ほかにも多くの発表を聞いたり、各地で活躍されている地域医療にかかわる方々とお話ししたりしましたが、最終的にはプライマリケアの重要性を強く感じることができました。

来年は札幌で開催され、秋田から近いのでまたぜひとも参加させていただき、多くの新たな知見を増やして参りたいと思います。