JPCA学術大会 in 浜松 ― 未来への「導音」

去る6/8~6/9、浜松で行われた第15回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会に参加してきました。

「音楽の街」の別名に違わず、道中や会場のあちこちに音楽要素が散らばっていました。

懇親会はジャズコンサート。ゲストとしてお越しの高名な先生方もノリノリです。

私自身は音楽屋さんの端くれにもかかわらず、演奏そっちのけでビュッフェ料理に夢中でした。プレイヤーの皆さんごめんなさい。

しかしただの料理ではありません。大会テーマが「誰一人取り残さない持続可能なプライマリ・ヘルス・ケアに向けて」というだけあって、一部のメニューがヴィーガン料理なのです。

もちろん美味しい。

腹十分になったその後で浜松餃子もしっかり賞味。

さらに会場にはウォーターサーバーがあり、手持ちのボトルに自由に水を汲んでよいシステムになっていました。気候変動も考えた、蒸し暑い初夏に嬉しいサービス。

渇きかけていた心と体がじんわりと潤うのを感じました。

心…?そうです。

実を言うと、私は最近「総合診療」のアイデンティティに迷って悩んでいました。

「専門性がない」「他の診療科に患者を割り振って押し付けるだけ」「専門医が診たがらない疾患(誤嚥性肺炎など)を担当する便利屋」…SNSなどでそのようなネガティブな意見が総合診療に寄せられるのを頻繁に目にし、

自分は、総合診療医は、「何のお医者さん」なのか?

今やっている仕事に意義はあるのか?

そんな悶々とした気持ちになっていました。

しかしこの学会で参席したレクチャーの中で、総合診療医とは何たるかというお話を耳にすることができました。そのお話はもちろん答えのすべてではありませんが、しかし自分の将来への道筋をほのかに示してくれたと感じます。

加えて個人的なことですが、自分の初期研修先の後輩にあたる研修医の先生に出逢いました。

参加したシンポジウムでたまたま隣の席になりました。もちろん事前に示し合わせなどもありません。何たる奇跡。沸き立った気持ちですかさず名刺を交換しました。

初期研修時代の記憶が一気に呼び起こされ、お互いに労いあううちに「自分もこれからも頑張ろう」とエネルギーが湧いてきました。

――音楽の用語で「導音」という音があります。

ドレミファソラシのシにあたる音のことで、主役であるドへ進みたくさせる、すなわち安定感のある音を導くはたらきがあるそうです。

今回の「音楽の街」での出逢いは、私にとってまさに、目指す未来を示し導いてくれる導音でした。専攻医2年目、引き続き自分らしいバイブスで鳴らし続けたいと思います。