「学生は無敵!」後藤徹先生インタビュー その1

 こんにちは!実習で総合診療科を回らせていただいたCC2の山田遥菜です。
1月11日に後藤徹先生による講演会が開催され、その際に学生時代にお世話になっていたという総合診療科に先生が顔を出してくださいました。

 後藤先生は2011年に秋田大学医学部を卒業後、京都大学付属病院での研修を経て現在トロントにある北米最大の移植センターでご活躍されています。学生時代から留学や研究など、いろいろなことに挑戦していたそうです。そこで今回は、後藤先生がどのような学生時代を送っていたのか、また先生の経験や考え方など、ご本人に直接伺っていきたいと思います!

後藤 徹 先生 profile
 2011年秋田大学医学部卒業、京都大学医学部附属病院で初期研修、田附興風会医学研究所北野病院で外科後期研修およびスタッフとして勤務後、17年より京都大学大学院医学研究科 肝胆膵・移植外科学大学院生。18年よりトロント総合病院で肝臓移植のリサーチフェローとして大動物移植手術と臨床試験を行う。21年度より同院で腹部移植部門クリニカルフェローとして勤務。
「雑草外科医」(X-旧Twitter ID:@multitransplant)として、若手医師の教育と海外生活について情報発信を行う。

(後藤徹 著: 医師として王道で勝つためのタクティクス 医学生, 研修医が本気になったらどこまでできるか. 2021年. 日本医事新報社. より引用)

-医学部に入った理由、入学当初の夢は何ですか?
 小学生の時に医療ミスで父を亡くし、外科医になりたいと思って入学しました。

入学当時から目標が明確にあったようです。現在後藤先生は肝移植をご専門にされていますが、その道に進まれたのにはきっかけがあったのでしょうか。

-肝移植に興味を持ったきっかけは何ですか?
 1年生の時にピッツバーグ大学に留学し、そこで手術によって劇的に黄疸が良くなったのを見て、肝移植に興味を持ちました。また低学年の内からカンファレンスに参加したり手術見学をしたりしていました。第一外科では研究をしたり、手術に呼んでもらったりとお世話になりました。

1年生の内にオックスフォード大学とピッツバーグ大学に留学に行った後藤先生。学生が自分だけの力で留学に行くのはいろいろと大変そうですが、先生はどのようにして留学に行くことになったのでしょうか。それには教授の後押しがあったそうです。

-1年生で行った留学は生理学講座の教授の勧めと伺いましたが、なぜその教授とつながりを持ったのですか?
 以前は入学式の後、秋田温泉さとみに医学科1年全員で宿泊する行事があって、そこで国際交流委員長をしていた教授に会いました。帰ってきてからすぐに教授の研究室を訪ねました。留学に行きたいと言ったら最初は尋問のように、なぜ行きたいのか、何をしたいのかなど深くいろいろ質問されました。教授は用心深い人だったので(笑)。でも何回も説明するうちに最終的には教授に認められて、留学に行くことができました。

自分から教授に会いに行くというのは勇気が要りますよね。

後藤先生は生理学講座で留学、第一外科で研究や手術見学、総合診療科で机を借りて勉強するなどいろいろな科の先生と交流があったそうです。なぜそんなに多くの先生と関係を築くことができたのでしょうか。

-生理学講座、第一外科、総合診療科など人脈があったそうですが、自分から先生に話しに行くのは怖くなかったのですか?
 怖かったですよ。もともと社交的ではないので。けど気にしなかったです。それよりも好奇心が強かったです。 -原動力は何ですか?好奇心。モチベーションを超えて好奇心で動いている感じです。
-座右の銘は?
 常時全力。格好良くはないんだけどね(笑)。

「やらなければいけないからやる」ではないのですね。自分がやりたいからやる。簡単に出来ることではありません。

先生のお話を伺っていると、エネルギーに満ちあふれているように感じます。先生がいかに自分のやりたいことを全力でやっていたかがよく分かります。

―先生は何回も留学に行かれていますが、留学に行く時は、はっきりとした目的を持っているべきですか?
 留学には2種類あります。まずは海外に住みたい人。この人は目的が明確でなくてもいいと思います。もう一つは日本に帰ってきたい人。この人は目的を明確にしていく必要があります。留学にはお金も時間も使うのに、それに見合うだけの成果がないのはもったいないですし、お金と時間の無駄遣いになってしまいます。学生は将来留学を希望する、しないに関わらず、どっちに転んでもいいように英語で論文を読むなど、英語に触れていた方が良いと思います。

「学生は無敵!」後藤徹先生インタビューその2